もしものときに慌てないために! 親の遺産を相続した場合の税金の計算方法

40代になると親も70代を過ぎ、そろそろ相続の話しが出てくる家庭も増える頃でしょう。
そんな中、「親の遺産相続で、自分に税金がいくらかかるのか?」と、不安になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、不動産をはじめとする財産を相続した際に税金がいくらになるか、おおよその計算方法と、もしものときに焦らないためのポイントを解説します。

目次

相続税は無条件にかかるわけではない

相続税とは、故人名義の財産を法定相続人が相続した際にかかる税金のことです
たとえば、父親が亡くなったときに父名義の土地・建物・預金・有価証券(株券など)・暗号資産(仮想通貨など)・車・借金があった場合、それがすべて遺産となります。
夫婦共有の財産であっても、預金の名義が母親であった場合は遺産ではありません。あくまでも、本人名義のものだけです。

基礎控除はどれくらいあるのか?

相続税には、「基礎控除」があります。
基礎控除とは、無条件に税金から控除される金額のことです。
基礎控除の範囲内の遺産相続には、相続税はかかりませんし、基礎控除を超えた場合には、超えた分だけが課税の対象になります。

基礎控除:3000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人って誰が対象?

法定相続人とは、法律で定められた「遺産を相続できる人」を指します。
法定相続人は、亡くなった人(=被相続人)の配偶者と、子どもや親などの血のつながりのあった人がなります。
配偶者は常に法定相続人になりますが、血のつながりがあった人は全員が法定相続人になるわけではなく、順番と相続の割合が決まっています。

・配偶者:常に法定相続人になる

・配偶者以外の相続人:以下の順位に従って、対象者が決まる

 第1順位:直系卑属(子や孫、ひ孫など)
 第2順位:直系尊属(父母や祖父母、曾祖父母など)
 第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合には甥姪)

第1順位に該当する人が誰もいない時は、第2順位の人が、第2順位の人がいない場合は、第3順位の人が法定相続人となります。

磯野家で浪平さんが亡くなった時の基礎控除は?

国民的アニメ「サザエさん」の磯野家を例にしてみましょう。
もしも浪平さんが亡くなってしまった場合、法定相続人は以下の4人になります。

浪平死亡時の法定相続人
配偶者:フネ
子ども(第一順位):サザエ、カツオ、ワカメ

よって、磯野家の基礎控除額は
3,000万円 + 600万円 × 4人=5,400万円
という計算になります。

一方で、カツオくんが亡くなってしまった場合どうなるかも考えてみましょう。
カツオくんは、配偶者がいません。また、第一順位となる子どもや孫もいません。よって、カツオくんが亡くなった場合の法定相続人が以下の2人となります。

カツオ死亡時の法定相続人
父母(第二順位):浪平、フネ

第二順位の父母がいるため、第三順位にあたる兄弟姉妹のサザエさんやワカメちゃんは法定相続人には該当しません。
カツオくんが亡くなった場合の基礎控除額は
3,000万円 + 600万円 × 2人=4,200万円
という計算になります。

相続税はどうやって計算するのか?

相続税の計算手順
①:遺産の合計額を計算する
②:遺産の合計額から、基礎控除額を差し引く
③:②の金額を、法で定める割合に従って、相続した場合の取得額を計算する
④:③のそれぞれの取得額に応じて、相続税の金額を計算する
⑤:④で計算した相続税をすべて足し上げ、実際に相続する金額で按分する

浪平さんに1億円の遺産があったら、どうなるのか?

①遺産の合計額を計算する

浪平の遺産の合計は1億円とします。ちなみに、世田谷にある磯野家の価格は2億円超えという説もあります。

②遺産の合計額から、基礎控除額を差し引く

浪平さんが亡くなった時の基礎控除額は、5,400万円でした。
よって、課税の対象となる遺産の金額は、1億円-5,400万円=4,600万円になります。

③②の金額を、法で定める割合に従って、相続した場合の取得額を計算する

法で定める割合に応じて相続した場合、以下の割合となります。

配偶者:フネさん→遺産総額の2分の1
子ども(第一順位):サザエさん、カツオ、ワカメ→遺産総額の6分の1ずつ(遺産総額の2分の1を3人で均等分する)

よって、それぞれの取得額は以下となります。
フネさん:2,300万円
サザエさん、カツオ、ワカメ:各766万円ずつ

④③のそれぞれの取得額に応じて、相続税の金額を計算する

相続税の税率は、相続する金額によって変わります。
③で算出した取得額に応じて、取得額×税率-控除額で相続税の金額を計算します。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

よって、磯野家の法定相続人の皆さんの場合は、以下のとおり計算できます。
フネさん:2300万円×15%-50万円=295万円
サザエさん、カツオ、ワカメ:766万円×10%=76.6万円

⑤④で計算した相続税を全て足し上げ、実際に相続する金額で按分する

④で計算した相続税をすべて足し上げると、295万円+76.6万円×3=524.8万円となります。
他方、磯野家では話し合いにより、法で定める割合ではなく、1億円の遺産を実際には以下のとおり分けることにしたとしましょう。

フネさん→2,500万円(遺産の4分の1)
サザエさん→5,000万円(遺産の2分の1)
カツオ、ワカメ→1,250万円ずつ(遺産の8分の1)

このとき、相続税は実際の取得額に応じて524.8万円が按分されます。
つまり、それぞれの相続税は、以下のとおり計算されます。

フネさん→131.2万円
サザエさん→262.4万円
カツオ、ワカメ→65.6万円ずつ

なお、配偶者には相続した遺産の総額が1億6,000万円までは、相続税が課税されない税制優遇措置を適用できます。
よって、フネさんの相続税は0円となります。

相続税を正確に計算するために必要なもの

磯野家を事例に相続税の計算方法をご紹介しましたが、以下の情報があれば、先ほど紹介した手順に沿って自分でもざっくり計算してみることは意外と簡単です。

相続税計算に必要な情報
①個人の財産の金額
②法定相続人の人数

もしものときに焦らないためのポイント

現金のように換金性の高い遺産ばかりであればいいのですが、土地や建物の場合は様々な事情で売れないことも往々にしてあります。
相続税が思わぬほど高くなってしまい、資金がないので支払えないという事例も少なくありません。
もしも、親の遺産に不動産が多く含まれる可能性がある場合は、概算でも良いので相続税が発生するかどうかと、相続税にかかる金額を確認しておきましょう。
加えて、相続税が発生する場合は、どこから支払うのかも明確にしておくと安心です。

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まとめ

思っていたよりは、相続税の計算が難しくないと感じた方も、多いのではないでしょうか?
早めに相続税を確認しておけば、相続税を支払うための資金を準備したり、相続税対策を検討する期間が長くとれます。
概算の金額でもまずは構わないので、試しに手順に従って計算してみましょう。

なお、税に関することは、税理士に相談するのが一番です。
自分で計算することもできますが、思わぬものが遺産扱いされることもあります。
複数の土地や建物を所有していたり、会社を経営していたりするような場合は、特に税理士に相談して計算してもらうのがおすすめです。

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